レバノンとオリーブ
オリーブの原産地は今から約6000年前の地中海東部だと言われています。もともと自生していたオリーブを最初に栽培したのは、現在のレバノンやパレスチナにあたる地域の人々で、海上交易に突出した能力を持っていたフェニキア人により、その栽培技術は西へ、地中海全体へと広められました。
現在でもレバノンではオリーブの栽培が盛んで、農業の柱として大切な産業となっています。この地域を訪れたことのある方ならご存知でしょう、アラブ料理、とりわけレバノン料理ではさまざまな野菜やハーブとともにオリーブの実やオイルをふんだんにいただきます。夏は乾燥して暑く、冬は温暖でまとまった雨が降る地中海性気候という自然の恵みのおかげで、とても質の良いオリーブが育つのです。
農業の柱といっても、スペインやイタリアのように大規模な経営をする農家は少数です。多くはFUADO'S HARVESTのように家族で経営する小さな農園です。最近ではレバノン農業省とAmerican UniversityがHealth Basket Programと呼ばれる有機栽培の共同研究を行うなど、官民ともにオリーブを産業として育てる動きが高まっています。
さて、オリーブの種類は世界中に数百種あると言われています。数え方によっては数千種、という人もいます。それはオリーブが自家受粉しにくい植物で、異なる2品種以上を植えることで結実しやすくなるため、もともとの種と亜種の関係が分かりにくくなってしまうからです。これほどたくさんあるオリーブの種。大きさや形はもちろん、味も実にさまざまです。タジャスカ、アルベッキーナなど、スペインやイタリア産のオリーブとは全く違う風味や個性を持ったレバノンのオリーブオイルを楽しんでください。
Soury(主に北部で生産)
Samakmaki(主に南部で生産)
Airouni(辛味に特長があり、広く分布していますが収穫量が少ないため稀少な種です)
Baladi(主に北部。古くから伝わる種ですが、Souryの亜種に間違えられやすい)
Chami(シリア・ダマスカス由来。テーブルオリーブ向き)
Edlebis(シリア・イドリブ由来)